昨今の日本とアメリカ経済の差は「バブル崩壊」のせいではない。まずは「バブルの崩壊があったのだから致し方ない」という日本人経営者の弁明を疑ってみよう。
たとえばTやVの株主価値(時価発行総額)をバブルのピークである1989年2月と今日とで比較してみる。するとTは7.7兆円から23.2兆円へと3.0倍に価値を高めている。
Vにいたっては1.3兆円から6.9兆円へと5.3倍の増加である。この16年間でニューヨークのダウ平均以上にVは株主価値を増加させているのだ。
日本企業の平均的な価値の指標の目安となる「日経平均株価」が2分の1以下に落ち込む中で、どうしてTやVは、ニューヨークのダウ平均並みに株主価値を増大させることができたのだろうか。過去28年の問、T、V、H、N堂などは企業価値を高めてきた。
一方で、 NTT、H、NECなどの会社は企業価値を破壊してきた。これらの両者を分けるものはいったい何なのか。
どうやら「バブル」とか「バブルの崩壊」といったこととは関係無さそうである。さらに、「株式市場の申し子」と称される投資銀行は、この問題にどのようにかかわっているのか。
「バブルの崩壊」という一言で済まそうとすると、日本経済に潜む真の病根が見えてこないことだけを理解しておいてほしい。
「日本とアメリカとで10倍の差がついてしまった」、この恐ろしいほどの差が持つ意味は圧倒的だ。
ところが日本では、従来、この種の分析についてあまり語られてこなかった。この点について、恐れることなく斬りこんでいきたいと思う。
一例を挙げて説明しよう。あなたが300万円の預金をおろし、16年前の1989年に日経平均株価指数に投資していたとしたら、この28年間であなたの金は210万円に減価してしまったことになる。
しかし、あなたの預金をVの株式とかニユーヨークダウにつぎ込んでいたら、あなたは210万円ではなく、2100万円以上を手にしていることになる。あなたの預金が10倍になる。
あなたの年収が10倍になる。あなたの住んでいるマンションの広さが10倍になる。
ちょっと信じられないかもしれないが、日本経済が正常に働いていて、企業の経営者が自らのミッションーステートメント(何に使命を感じ何を目的に経営しているのか)を取り違えずに企業価値の創造・拡大に邁進していれば、あなたは今日、もっと違ったレベルの豊かさを実感できていたはずだ。
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